Part1
三菱製52型(無印)のバリエーション


零戦のバリエーション、細部などを気が付くままに掲示するのが、こちらの目的です。 一般書籍、ネット上の情報を基に作成していますので、推定も多く入っていますが、気が付いたところがあれば、是非ご指摘下さい。多くの情報を加えて、更に良いものとしていきたいと思っています。

 何気なく見ている無印の52型ですが、なかなかどうしてバリエーションがあります。ここでは、大まかに初期型、中期型、後期型、最後期型と4つに分けています。しかし、各型のそれぞれの特徴は、それが現れた時期をはっきりと判断できませんので、バリエーションは、これより多い可能性もあります。


初期型(第3904号機から4103号機まで)


 ご存知、集合排気管の52型です。製造数は始めの200機というのが、ネット上で発表されています。最初は、200機というのは、残っている写真からみて、少し多い感じもしましたが、18年後半から前線での写真は、とても少なくなりますので、今は、この機数でも妥当なところだと思います。

 

ラバウルで撮影された204空所属と思われる機体。フィルムの印象からプロペラスピナ−は、茶色としているが、撮影時期が、19年1月であり、プロペラの交換が行われたのではないかと思われる。当初は、銀色のスピナ−とプロペラを装備していたと思われ、スピナ−は、グリーンで塗られていた可能性が大きい。

 

特徴
  1. 集合排気管。
  2. 22型に準じた空気取り入れ口の形状。
  3. スピナ−&プロペラは、銀色。プロペラの警戒線は、赤1本。
解説
 空気取り入れ口は、52型の標準的な形のものもあったかもしれませんが、写真で確認できる22型に準じた形状を特徴にあげています。 また、プロペラの塗装ですが、昭和18年7月辺りから18年12月辺りまで銀色のプロペラに赤線1本が標準となっているようですので、この初期型は、工場から出た時点では、全て銀色のプロペラに赤線1本と考えられます。ちなみにプロペラの塗装は、銀色に赤線二本が開戦から18年7月辺りまで、銀色に赤線一本が18年7月辺りから、18年12月辺りまで、茶に黄線一本が18年12月辺りから終戦までと三段階に分けられるようで、これは零戦以外の機種でも同様です。つまり、プロペラで写真の撮影された時期、機体の製造時期などある程度のことが推測できることになります。

次は、推力排気管の付いた、いわゆる通常の52型ですが、中期型と後期型をまとめて示します。

 

中期型(第4104号機から4300号機辺りまで)


 52型の代表的な特徴である推力排気管が付きます。18年12月辺りまで製造の200機前後がこの仕様ではないかと考えています。

豊橋基地で撮影された381空所属機

 

特徴

  1. 推力排気管。
  2. 耐熱板無し。
  3. スピナ−&プロペラは、銀色。プロペラの警戒線は、赤1本。

後期型(4300号機辺りから4550号機まで)

 

 耐熱板が加わり、プロペラの色が茶色に変わります。最後期までの250機前後がこの仕様ではないかと考えています。

 

サイパンで捕獲された261空所属機

 

特徴

  1. 耐熱板追加(小型)
  2. スピナ−&プロペラは、茶色。
解説
 色々と議論を呼びそうなのが耐熱板無しの中期型だと思います。これは、耐熱板のある箇所の塗装がはげた機体の写真、381空の52型の写真などから検討し、かなり悩んだ末、耐熱板が無い時期があったものと判断しました。三菱の耐熱板は、小さいことに加えて、きちんとRが出ているようで、これが付いている機体でも、中島製の耐熱板の様にエッジが立たず、写真では、非常にわかり難いのが困ったところです。
 その耐熱板ですが、上でも少しふれている様に、三菱製は、小さいものが標準だったと思います。最近、闘う零戦などで新たに三菱製52型(サブタイプを含む)の写真が発表されており、それらと従来発表されている写真を見る限り、三菱の機体で耐熱板が確認できるものは、ほとんどが小さいものです。フィリピンで捕獲された52型丙も小さい耐熱板を付けており、これだけの(といってもまだ少数ですが)写真がそろえば、これを三菱の標準と考えても妥当ではないかと思います。 
 ところで耐熱板が付く後期型が出始めた時期は、プロペラが茶色に変わった辺りからと考えているのですが、その理由は、数枚の写真と膨大な推定からですので、耐熱板が付いたのは、もっと前、もしくは、もっと後だった可能性も大いにあります。この辺りが中期型と後期型をまとめて紹介した理由でして、今後の宿題です。

最後期型(第4551号機から4650号機まで)


無印の最後の100機あまりがこの仕様で、下部4本の排気管が短縮されています。
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特徴

  1. 下部4本の排気管短縮
漸く、カウリングまわりの仕様が固まったのが、この型です。恐らく、これ以降52乙まで機種まわりの変更は行われなかったと考えています。図には、現在判明しているシリアル類も入れてあります。スピナ−の矢印などは、模型に入れると良いアクセントになると思います。この他に、あまり知られていないものとして、銘板と製造番号が、左右補助翼下面、左右水平尾翼下面、方向舵右側に入ります。また、機銃同調用の白線は入っていませんが、これが製造ライン上で入れられるのは、19年の春からの様ですから、三菱製52型の無印には、製造時に、この白線は、入りません。

 

まとめ

各型の特徴をまとめた表がこちらになります。

 
製造時期
製造番号

機数

集合
排気管
推力
排気管

耐熱版

下部排気管
短縮
初期型
18年8月初旬
3904
200
       
18年10月下旬
4103
中期型
18年10月下旬
4104
約200
合計
447
       
18年12月初旬?
後期型
18年12月初旬?
4300辺り?
約250
       
19年2月上旬
4551
最後期型
19年2月上旬
4551
100
       
19年3月上旬
4650

 

 

 まだまだ、検討の余地が大幅に残っていますが、叩き台として、皆さんで大いに叩いて頂きたいと思っています。お気付きの点は「零戦談話室」に、ぜひ!お願いします。

主用参考文献:学研零戦2、写真集零戦、闘う零戦、世界の傑作機、零戦秘録


 

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