空母乗りの初心者マーク?
正中線
         


今回は、カウリングの正中線です。

 ここでいう正中線とは何かというとカウリングの上面に機軸合わせて引いた白線のことです。これを操縦席から見ると白線の指す先が真正面となるわけですね。正式には、他に呼び方があるのかも知れませんがとりあえず正中線と呼びます。
で、この正中線ですが、瑞鶴から発進する32型のフィルム映像ではっきりと確認できます。九九艦爆などにあるのは知っていたのですが、空母部隊の零戦にもあったなんて知りませんでした。
面白いのは、この映画のなかで32型の前に登場する21型では見当たらないところで、記入したもの、記入しなかったものが混在した様子です。母艦機は、搭乗員がある程度固定されていたらしいので、搭乗員の好みで線を引いたのかも知れません。

 さて、存在がわかったところで探してみると、有名なEI-111の写真とこれも有名な653‐111の写真にもこの正中線が写っているようです。653‐111のものは、一見、太さ、長さが13mm機銃の同調用にも見えますが、主翼機銃からしてもこの機体は胴体に7.7mm機銃を装備する52型(無印)ですし、記入位置自体も13mm機銃のそれと違うようです。また、通常の7.7mm機銃用の同調線とも随分異なった感じです。実は以前より気になっていたのですが、32型の映像を見てハタと気が付いたワケです。
EI‐111は、ちょっと苦しいところがあるかなとも思いましたが、あってもいいかな〜と思いイラストにしてみました。

 イラストは、太い敵味方識別帯を入れた飛行中のEI-111と、これまた飛行中を斜め前方から捕らえた653-111です。両機とも母艦航空隊ですから、この正中線はやはり着艦の際に機軸を合わせる目印で、母艦機特有のマーキングだと思います。記入例が少ないところからすると初心者マークのようなものかも知れません。EI-111は、飛行隊長ですが若手が嫌がる初心者マークを率先して記入したのかもなんて想像してみると面白いです。
空母部隊の零戦を模型で作るときは、正中線を入れると「通」って感じかもしれませんね。

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参考
写真集零戦
株式会社 日本映画新社 日本軍用機集 海軍機篇

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